フリーダムすぎて色々不安になる国 ウクライナへ行ってきた

<こちらの記事がSPOT主催の「楽しかった思い出の場所記事コンテスト」で特別賞を受賞しました 

 

<リライトした記事がSPOTに掲載されました>

 

 

みなさんは、自由な国と言ったらどこを思い浮かべますか?

 

おそらく、多くの人がアメリカを思い浮かべるのではないでしょうか。

 

しかし、世の中には自由の国アメリカを驚愕させるほどフリーダムな国があります。

 

それは……

 

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ウクライナです。

 

去年の5月、私はウクライナに行ってきました。そして、日本ではありえない経験の数々に「色々フリーダムすぎやろ」と驚かずにはいられませんでした。

 

装甲車に乗って街を爆走したり……

原発事故で隔離されたゴーストタウンを巡ったり……

 

とにかくフリーダム過ぎて心配になっちゃう国ウクライナの魅力を、私のウクライナ旅行を振り返りながらお伝えします。

 

 

 

ウクライナってどんな国?


ウクライナは、ヨーロッパとロシアの中間あたりに位置する東欧の国です。この絶妙な位置にあるせいで、ロシアとEUの揉め事に何かと巻き込まれがちです。かつてはソビエト連邦の構成国でしたが、ソ連崩壊に伴い新たな国家ウクライナとして独立しました。

 

日本では、原発事故のあったチェルノブイリがある国として有名です。他には、ロシアの代名詞的存在として有名なボルシチやコサックダンス。実は、どちらもウクライナが発祥です。

 

ヨーロッパではロシアに次ぐ国土を誇り、自然も歴史も豊富で数多くの観光スポットがあります。世界遺産になっている旧市街などの歴史的建造物から、SNSで話題になった線路を覆う「愛のトンネル」など、日本ではあまりメジャーではありませんが、実は幅広い観光が楽しめる国です。

 

2014年には、ウクライナに属するクリミア半島を巡りロシアと対立していたため、あまり治安が良くないイメージを持っている人も多いかもしれません。実際は、クリミア半島周辺以外の地域は特別治安が悪いわけでは無いので、スリなどに注意していれば問題ない治安環境です。

 

 

 

人生初の飛行機へ乗るはずが……

 

日本からウクライナへの直行便は出ていないため、ヨーロッパや中国を経由する必要があります。今回の旅では日本→フランス→ドイツ→チェコ→ウクライナ→中国→カザフスタン→日本という順番で各国を巡る予定だったため、まずは東京からフランスのパリへと向かいます。

 

今回の旅のメンバーは私・兄・友人の3人。成田空港で集合し、早々に出国審査を済ませた後、搭乗まで余裕があるので搭乗ゲート近くのうどん屋で腹ごしらえ。

 

飛行機初体験となる私は、想像以上に高い値段にビビりながら麺をすすります。空港ゲート内の飲食店ってなんであんなに割高なんですかね。

 

うどんを完食し、いよいよ搭乗ゲートへ。搭乗時刻までは15分くらいでしょうか、そんなに余裕があるわけでもないのに、なぜだか他の乗客の姿が見当たりません。もう時間的には並んでいたっていいはず……

 

搭乗カウンターにいたCAさんにチケットを見せ、搭乗カウンターが間違っていないか確認。そして、私たち3人はようやく気がきました。

 

搭乗時刻はとっくに過ぎていたということに。

 

値段にビビりながら麺をすすってた、あのへんの時間が搭乗時刻だったということに!!

 

本来搭乗ゲートで並んでなきゃいけない時間に、私たち3人は、そのゲート近くのうどん屋でうどんをすすっていたのでした。

 

なぜこんな事になったのか? 実は、チェックインをする際に搭乗時刻が変更になっていました。その事自体は、チェックインカウンターで説明されていたので、私たちもしっかり理解しています。それどころか、説明してくれたお姉さんは親切に、変更後の時間をペンでグルグル丸で囲み、矢印で強調までしてくれていたので、間違えようがありません。

 

では、何故こんな事になってしまったのか?

 

実は、グルグルマーキング&矢印ピックアップされていたのは、変更後の搭乗時刻ではなく、変更後の出発時刻だったのです。

 

なぜだ・・・

何故なんだお姉さん・・・

そっち注目しちゃいけないほうじゃん・・・ 

 

 

飛行機乗れないんですか?とCAさんに詰め寄るも、

 

「あの飛行機ですので……」

 

そう言いながらノロノロ方向転換して滑走路へ向かおうとしている飛行機を指差されました。

 

自分が乗るはずの飛行機を窓から眺めて見送るという状況は、なかなかシュールで笑えてきます。皆さんも試してみてください。

 

 

 

なんとかウクライナへたどり着く

 

本来ならパリへと向かう飛行機に乗っているはずの私たちは翌日、北海道行きの飛行機に乗っていました。

 

自分たちが乗るはずだった飛行機をお見送りした後、友人が懸命に変わりのチケットを探してくれ、本来ならパリ→ドイツ→チェコ→ウクライナと巡るはずだったところを、東京→北海道→韓国→シンガポール→チェコ→ウクライナと、なんとか予定していた旅行行程をチェコから始められる道筋をつけてくれたのです。

 

パリの代わりに成田空港のソファで1泊、ドイツの代わりにソウル空港のソファでもう1泊。計4本の飛行機を乗り継ぎチェコに到着しました。ようやく予定していた旅行をスタートすることができます。旅行をなんとか復活させてくれた友人にはほんとに感謝しか無いですね……。チェコでの旅行を楽しんだ後、いよいよウクライナへ降り立ちます。前置き長くてごめんなさい。

 

ウクライナ観光1日目は、空港からそのまま首都キエフにある宿泊先へ。

 

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宿泊したマンションからの眺め

今回はAirbnbで手配した、キエフの大通り沿いのマンションに宿泊。3泊4日ここに滞在します。Airbnbなどのシェアリングエコノミーサービスをうまく活用すれば、普通のホテルよりも格安で泊まることができるうえ、キッチンやランドリーが備わっている部屋も多いので、滞在費を抑えたい方にはオススメです。

 

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キエフの大通りは人が多く賑わっていました。オシャレで美しい町並みも魅力的のですが、ここに来るとそれ以上に驚かされることがあります。それは……

 

美女がとにかく多くてビビる。

 

何だこの国は。モデルみたいな人があっちこっち歩います。私は、夏目漱石がロンドンに留学した際の日記に書かれていた一文を思い出さずに入られませんでした。

 

「往来に向ふから背の低き妙なきたない奴が来たと思へば我姿の鏡にうつりしなり、我々の黄なるは当地に来て始めて成程と合点するなり」

 

ここに来ると漱石と同じ気持ちになれます。とにかく美男美女が多すぎる。

 

それもそのはず、ウクライナは世界一美女の多い国として有名で、美しすぎる検事として日本でも有名になったポクロンスカヤ検事総長もウクライナ人です。

 

この体験をするだけでもウクライナに来る価値があります。観光地に行かなくても、街を歩いているだけで十分満足できてしまうポテンシャルを秘めている国ウクライナ。美女だけでなくイケメンもたくさんいるので、男女問わず一度は訪れるべきです。

 

 

 

コスパ最強 スーパーグルメ

 

夜はスーパーに買い出しへ。お金のない私たちにとってレストランは高いので、宿泊先近くのスーパーでまとめて3日分の食材を買います。

 

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とにかくチーズがすごい。

適当に立ち寄った、そんなに大きくないスーパーでこの品揃え。日本のスーパーではまず見かけない光景ですね。違いがわからないけど、なんとなく美味しそうな奴をチョイスします。

 

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加工肉もすごい。

牧場とかに行くと、お土産エリアにこんな感じのコーナーがあってテンション上がりますよね。でも割と高いから、結局ふ~んって感じに眺めて終わりになりがち……

 

でも、ウクライナならその無念をはらせます。ウクライナは物価が安いですし、ここに並んでいるものはお土産ではなく日常のための食材なので、お手頃価格で購入できます。

 

ソーセージ?ウィンナー?はたまたサラミ?カルパス? 違いはよくわからないけど、なんとなく美味しそうな奴を購入。

 

そして……

 

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最高じゃん。

 

最高でした。

 

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お試しで買ったカルフォルニアロールは、高かったくせに全然美味しくなかったです。

 

 

 

チェルノブイリ原発見学ツアー

 

2日目は、あの有名なチェルノブイリ原発へ行きます。1986年に原発事故が発生し、放射能汚染のため原発周辺は立ち入りが厳しく制限されていましたが、5年ほど前から周辺の街や原発を見学するツアーが開始され、今では世界中から多くの人が訪れます。

 

特にここ最近は、アメリカやイギリスで放送されたドラマ『チェルノブイリ』の影響でツアー希望者が急増しているそうです。原発事故の被害を抑えようとした人々の姿が克明に描かれたこのドラマは世界各国で称賛の声を集め、チェルノブイリ原発は改めて世界中から注目されることとなりました。

 

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首都キエフからツアーバスに乗りチェルノブイリへ。到着するまでの間、ツアーに参加するにあたっての注意事項を説明されます。ツアー中はなるべく舗装路を歩き、苔やキノコは汚染されてるから触れるなとのこと。なんというか、それは一般に開放していいレベルにまだなってないんじゃないかとか色々不安になってきますが、そんな人用に有料でガイガーカウンターのレンタルもされていました。色々すごいなこの国は。

 

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まず向かったのは、チェルノブイリ原発から数キロ離れたところにある街プリピャチ。原発事故の際に住民は避難し、それ以降は街全体が廃墟となっています。原発事故で汚染し、住人を強制退去させた町を観光資源化するなんて、日本じゃ考えられませんね……。隔離エリアの入り口では軍の人が立っており、ツアー参加者は全員パスポートを見せてから中に進みます。

 

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この町には病院や映画館、学校やビルなど建物が沢山建っていますが、今やみんな廃墟になって草木に覆われています。ただ、ツアーのバスが往き交い、ガイドに連れられてツアー客が練り歩いているので、ゴーストタウンという風情はあまりありません。事故によって隔離された街が、まるで人気の観光地のような有り様になっている現状には色々と思うところがありますが、人類史上最悪の原発事故を後世に伝えてゆくには、多くの人に現場を見てもらうことも必要なのかもしれません。 

 

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次に向かったのは、プリピャチで最も有名な施設である遊園地。この遊園地は開園の直前に原発事故が発生したため、一度も営業しないまま現在のような姿になってしまいました。


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コチラは空中ブランコ。座席部分の板は腐り落ち、パイプだけになっています。

 

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ガイガーカウンターをレンタルした人は、遊具や植物、水たまりなどいろいろな場所にカウンターをかざし線量を計測していました。どうやら場所によってだいぶ放射線量が異なるようです。スマホ片手にポケモンGOをやるような感覚で、ポケストップではなくホットスポットを探す人々。こんな体験ができちゃう国は、世界中探してもウクライナくらいでしょう。

 

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遊園地から少し行ったところには、サッカースタジアムが。

 

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一見するとただの森のようですが、実はスタジアムのグラウンド部分です。長い年月をかけ、自然へと戻ってしまっています。

 

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 再びバスに乗り、少し移動すると大きな鉄塔のような構造物が。

 

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実はコレ、敵国の飛行機を索敵するためのレーダーだそうです。西側諸国との対立が深かった時代には、このレーダーを稼働させ、警戒にあたっていたようです。

 

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高さも横幅も相当な大きさで、全景を収められませんでした。

 

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次に原発へと向かいます。こちらはチェルノブイリ市の入り口にあるモニュメント。絵は科学技術による明るい未来を描いたものでしょうか。事故により、来たるべきユートピアは幻となってしまいました。

 

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奥に見える白いドームのようなものが、事故後新たに作られた石棺です。事故のあった原発をまるまる覆い、放射能が漏れるのを防いでいます。それでもこのあたりは他の場所よりも放射線量が高いようで、他のツアー客がレンタルしたガイガーカウンターからは警告ブザーが鳴っていました。すごいところに来てしまった……

 

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お昼ご飯は入り口に放射線量測定器がある食堂で頂きます。ちなみに、地面に座ったりして放射能を吸着してしまった場合、汚染されたズボンや靴をこの場で廃棄させられるそうです。実際に過去にあったそうですが、廃棄させられた人、どうやって帰ったんだろう……。

 

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今も原発を廃炉にする作業が続いており、本来この食堂は作業員のために作られた場所のようです。しかし、今ではツアー客が長い行列を作っています。

 

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原発施設の入り口にはお土産屋さんがありました。ポストカードやガスマスク、写真集などが売られています。人類史上最悪の原発事故が起きた街をそのまま観光地化し、おみやげコーナーまで設けてしまうとは、流石に驚きを隠せませんでした。放射線量についても、ところどころ線量の高いホットスポットが点在している状況を逆手に取り、ガイガーカウンターのレンタルをしてしまうなんて、ちょっと日本では考えられませんね。

 

ただ、ガイドの方は街を巡りながら事故に関する説明をしてくれるので、原発事故について深く学ぶことができるのは確かです。アウシュヴィッツ収容所や広島の原爆ドームのように、より多くの人が原発事故について考えるきっかけになるのならば、学びの場として観光地化するのはアリなのかもしれませんね。ホットスポット探しをアクティビティ化するのはぶっ飛び過ぎだと思いますが。

 

 

 

装甲車体験搭乗ツアー

 

皆さんはマニュアル車に乗ったこと、ありますか?

 

最近はオートマ車ばかりで、マニュアル車に乗る機会は殆どなくなってしまいましたね。私は一応マニュアル免許を取得したのですが、引っ越しする際にレンタルした軽トラを一度運転しただけで、それ以降はマニュアル車を運転する機会はありませんでした。

 

しかし、このウクライナに来て久々にマニュアル車の運転を経験することができました。

 

コレです。

 

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装甲車です。

 

まさか、マニュアル車運転歴が教習車→軽トラ→装甲車になるなんて思いませんでした。ということで、3日目は装甲車体験搭乗ツアーに参加します。

 

ツアーガイドにホテルから車で送迎してもらい、何故かガソリンスタンド脇に車を止めたと思ったら、普通に装甲車が給油してたのでビビりました。

 

てっきり、私有地の限られた敷地内を走るもんだと思っていたので、町中のごく普通のガソリンスタンドで対面することになるとは思わなかった……。

 

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ここで装甲車にツアーガイドと一緒に乗り込み、ガソリンスタンドの近くにあった、林の中にある練習コースっぽいところで停車します。

 

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今回のツアーでは、装甲車に乗るだけでなく運転も体験可能です。一人づつ運転席に乗り込み、助手席からインストラクターのおっさんにサポートしてもらいながら、このオフロードコースを運転していきます。

 

本当はキャタピラで走る戦車に乗りたかったのですが、戦車はツアー代が1人4万円くらいするのでこの装甲車で我慢しました。お金を払えば戦車を運転させてくれるとか、色々ぶっ飛んでますね。

 

この青い服を着たインストラクターのおっさんは2人いるのですが、いったいどういった立場の人なんでしょう?戦車や装甲車を民間で所有しているとも思えないし、肩に階級章みたいなものがついてるので、おそらく軍に属している人だと思うのですが、とにかく2人共、びっくりするほどかったるそうにしていました。

 

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いよいよ私の番がやってきます。運転席上部のハッチから、座席へと降ります。乗り降りするのも一苦労、そして椅子がめちゃくちゃ固い。運転席にはたくさんスイッチがありますが、運転の際に操作させてもらえるのは、ハンドル・アクセル・クラッチのみです。

 

助手席の座っているインストラクターのおっさんから、ジェスチャーと英語で説明を受けます。どうやら右手でアクセル、左手でクラッチを表現しているようです。英語はほとんどわからないため、頼りになるのは手のジェスチャー。初めて運転する装甲車のレクチャーがジェスチャー頼りなんて不安すぎる。

 

恐る恐るアクセルを踏み込みます。うう、かたい……。すこ~しづつアクセルを踏み込んでいると、エンジン音を唸らせながら、ゆっくりと車体が動きます。

 

よろよろ進み始めると、すぐにクラッチを踏み込むように指示が。指示通りクラッチを踏むと、助手席に座っていたおっさんがギアを2速に変えます。速度が徐々に上がってきて怖いので、様子を見ながらすこ~しづつアクセルを踏み込んでいると……

 

「ACCELERATION!!!!」

 

助手席に座っていたおっさんにめっちゃ怒鳴られました。

 

もっとアクセルを踏まなきゃいけないらしい。おそらく、ギアを2速に入れてからはある程度のスピードを出し続けないとエンストしてしまうのでしょう。でも、こちとらマニュアル車なんて教習車と軽トラしか乗ったこと無い人間です。いや、どんな人間だって、いきなり装甲車にのったらまずは様子見でソロソロ行きたいじゃないですか。アクセルベタ踏みなんて怖すぎる。

 

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運転席に乗るまでは意識してなかったのですが、よくよく考えると装甲車ってフロントガラスがないんですよね。左右も窓が一切なく、図体がでかいわりに、正面の小さな窓からしか外の様子がわからない。そのため、めちゃくちゃ運転がしづらいのです。それに加え、車高も高いし、曲がり方もかなり独特。カーブのためにハンドルを切ると、前の4つのタイヤが全て傾くため、普通の4輪車とは異なった挙動をします。だから、ゆっくり走っていても、普通にコースアウトして木に突っ込みそうになる。それなのに……

 

「ACCELERATION!!!!」

 

めっちゃ怒鳴るじゃん。

 

でも、慣れてくると、凸凹の道を難なく進んでゆく飛び抜けた走破性が病みつきになってきます。このどんな道でも乗り越えてゆく頼もしさは、普通の乗用車では味わえません。

 

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3人全員が運転の体験をし終えると、今度は、装甲車の上に私たちを乗せて林を爆走してくれます。軽トラの荷台に乗るのと違って、装甲車の天井部分に乗るので結構怖い。結構なスピードだしてくるし、左右からは伸びた木の枝が容赦なく顔にアタックしてくるし、普通に上に5人乗った状態で公道走ってるし、色々フリーダムすぎる。
 

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そのまま高速道路に入り、街を爆走してくれました。流石に高速道路に入るときには装甲車の中に入るように言われましたが、スピードが出てるのでハッチから頭を出すだけでもなかなかのスリルが味わえます。
 

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仕事中だろうと暇さえあればタバコを吸っている軍?のおっさん
その後は元のガソリンスタンドに戻り、装甲車体験搭乗ツアーは終了。
 
世界広しといえども、装甲車で街をドライブしたり、運転したりできちゃう国はそうないでしょう。戦車や装甲車まで観光資源にしてしまうウクライナのおおらかさには、とにかく驚かされます。
 
このあとは、ツアーガイドに連れられレストランへと行きました。その道中、高速道路から見える林にジャンボジェット機が横たわっていたのですが、ガイド曰く、「誰がどうやってあそこに持ってきたのか誰にもわからない。いつの間にかあそこに捨ててあった」とのことでした。そんな事ある?飛行機がポイ捨てされる国、ウクライナ。色々すごすぎる。
 
 
 

フリーダムすぎる市場へ

 

4日目は、地下鉄に乗って市場へ行きます。向かう先はメトロ1号線の終点駅、Lisova駅。首都キエフには、地下鉄に乗るための地下通路への入り口が色んな所にあるので、ちょっとした移動にも便利です。

 

ただ、日本の地下鉄みたいにパッと乗れません。というのも、地下鉄の駅を核シェルターとしても利用できるようにするため、首都キエフの地下鉄は世界一深い場所に作られているのです。そのため、駅に降りるまでが地味に大変。もちろん、エスカレーターはあるのですが……

 

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長すぎて先が見えません。

 

そしてスピードが速い。乗るときちょっとビビるくらい早いのですが、とにかく全長がとんでもなく長いので、下までなかなか到着しません。ぐんぐん地下深くまで潜っていくので、地下の秘密基地に向かうようなワクワク感を味わえます。

 

エスカレーターの間に等間隔に並んでいる照明には広告が貼られていました。色々なポスターが次々とやってくるので見ていて楽しい。

 

地下鉄に乗車し、首都キエフから30分ほどでLisova駅に到着します。

 

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Lisova駅を出たところ。駅周辺にはトラムのターミナルやバス停もあり、多くの人が行き交っています。

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駅を降りると、大きなアーケードの中にいろいろな食品を扱っているおしゃれな市場があるのですが、そのアーケードを抜けた先にも市場があります。それは……

 

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トラムの線路ギリギリに展開している、野良市場です。

 

先ほどのオフィシャルな市場と違い、フリーマーケットみたいに各々が勝手にお店を開いています。並んでいる商品は野菜・果物・お花・植物など。机やパラソルでしっかり設営されているお店から、シートを引いて商品を並べただけの簡易なお店まで、多種多様なお店が線路にそってかなり奥の方まで連なっています。やっぱり手前のほうが奥より売上が良かったりするんですかね? おそらく、毎朝場所とり合戦が繰り広げられているのでしょう。

 

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それにしても……

 

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トラム、ギリギリすぎじゃない?

 

ターミナルが近くにあるので、ひっきりなしにトラムが行き交います。それも結構なスピードで。しかしお客さんは慣れているのか、みんなギリギリまで避けないし、なんならトラムも減速しようとしない。

 

線路脇で勝手にお店広げちゃってるのもすごいし、それを許しちゃってるのもすごい。日本では考えられないフリーダムっぷりですね。

 

ここにはトラムのターミナルの他に、バスターミナルもあったのですが……

 

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バスターミナル沿いの道路にも野良市場が。

トラム線路脇の野良市場同様、かなり奥まで続いています。

 

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道路の両サイドにパラソルや段ボール箱が所狭しと並んでおり、その間を大型のバスがターミナルに向かって行き交います。買い物客も大勢いるので、人、バス、車、屋台が道路に溢れかなりのカオスっぷり。

 

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 商品は野菜や果物など食品が中心。この机なんかは、毎回撤収してるのだろうか……

 

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中には机もパラソルも使わず、そのまま地面において販売している人も。個人個人が好き勝手に出店しているので、多種多様なお店があり見ていて楽しい。

 

そんな個性的な店が連なる野良市場でも、一際異彩を放っていたお店がありました。それが、コチラ。

 

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ブルーシート・オンザ・肉塊!

 

常温直置きです。フルーツとか野菜と同じスタイルで肉塊を売っちゃっています。賞味期限とか生産地とか、そういった情報は一切なし。己の目で見て新鮮かどうか判断しろということなんでしょう。他にもこのスタイルで肉塊を売っているお店が結構ありました。ここではスタンダードな売り方なのか……

 

それにしてもかなりの出店数で、お客さんも歩道に収まりきらないくらいです。まるで縁日の屋台のような活気にあふれていました。昔は日本の商店街もこのくらい活気があったのでしょう。大型スーパーやショッピングモールの出店によって失われてしまった、個人商店が賑わっていたかつての日本の情景がここにはありました。……ちょっと日本とは異なる部分もありましたが。

 

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市場周辺では、旧ソ連国の国民車LADAをたくさん見かけました。カクカクしていて無骨だけどかわいい。「すぐに壊れるけどシンプルだからすぐに治せる」という理由で、今も旧共産圏の国々で愛用されています。


ウクライナでも、ものすんごくオンボロだったり、ナンバーが付いてなかったり、色々不安になるLADAが街中を走っていました。車検とか無いのかこの国は。

 
 

まとめ

 
ウクライナのフリーダムっぷり、堪能していただけたでしょうか。
 
装甲車に乗って街を爆走したり、ガイガーカウンター片手にゴーストタウンとなった街を巡ったり、他の国ではできないような稀有な体験がこの国では普通にできてしまいます。
 
また、ヨーロッパとロシアの中間に位置しているため、ヨーロッパのようなオシャレな洋風の建物がある一方で、旧ソ連時代に建てられた荘厳なスターリン様式のビルがあったり、ヨーロッパでは見かけないキリル文字があったり、旧共産圏独特のエキゾチックな情景を体験することができます。
 
何かとおおらかな気風に驚くかもしれませんが、その寛容さに身を委ねてみれば、あなたもウクライナの魅力にどっぷり浸かることができるでしょう。

 

 

 

シュゴウ (@shugou17) | Twitter

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